第1章-3|「AIは空気を読まない」構造と前提の重要性

副題:その答え、あなたのせいかも。AIが“察してくれない”理由とは?

1. なんでAIは、こっちの気持ちを“わかってくれない”のか?

ChatGPTなどのAIを使っていて、「なんでそんな答えになるの?」と感じた経験はありませんか?

多くの人はこう思います。「AIってまだまだだな」「やっぱり人間の方がいい」と。

でも実はそれ、プロンプトの伝え方に問題があるかもしれません。

この章では、AIが“空気を読めない理由”と、その改善法を具体例とともに解説していきます。

2. AIは「文脈を推測」していない。「パターンを予測」しているだけ

人間は相手の表情や間、空気を読んで会話しますが、AIにはそれができません。

なぜなら、AIは「この流れなら次に出る単語はこれだろう」と予測しているだけだからです。

つまり、AIは“意図”や“行間”を理解しているわけではないのです。

3. よくある「AIとのすれ違い」事例集

事例①:「わかりやすく説明して」

問題:“わかりやすさ”の基準が人によって異なる。

結果:AIが専門用語を使ってしまうなど、むしろ難解になる。

改善プロンプト:「中学生にもわかるように、例え話を交えて説明してください」

事例②:「要約して」

問題:要約の形式・口調・長さが指定されていない。

結果:堅苦しく、長くて分かりづらい文章になることも。

改善プロンプト:「子ども向けに、やさしい言葉で3行に要約してください」

事例③:「添削して」

問題:文法チェックなのか、構成の改善なのかが曖昧。

結果:表面的な修正だけで、本質的な改善にはならない。

改善プロンプト:「大学生向けの発表原稿として、説得力と論理性を高めるよう添削してください」

事例④:「もっと感情的に書いて」

問題:どの感情をどう表現するのかが不明確。

結果:「とても悲しかった」といった薄い表現になる。

改善プロンプト:「登場人物の悲しみをセリフや情景描写で具体的に伝えてください」

事例⑤:「ブログっぽくして」

問題:“ブログっぽさ”の定義が曖昧。

結果:毎回「こんにちは。今回は〜」という型にはまった文になる。

改善プロンプト:「20代向けの自然な語り口で、会話調を交えたブログ風にしてください」

4. 「前提」を渡すだけで精度が上がる

AIは“沈黙”しません。与えられた情報だけで、なんとか答えようとします。

だからこそ、プロンプトの中に「前提」「目的」「出力形式」をちゃんと書くだけで、質が劇的に変わるのです。

NGプロンプト:「文章を改善して」

OKプロンプト:「以下の文章を、30代ビジネスマン向けのプレゼン用として、論理的かつ説得力のある構成に改善してください」

5. KITTの補足:AIは“聞き返さない”ことを理解しよう

💡 AIは、わからないことを聞き返してくれません。
人間なら「どういう意味?」と聞いてくれるかもしれませんが、
AIは“とにかく答えようとする”んです。だからこそ、伝えるべき情報は最初に全部渡しておく必要があります。

6. まとめ

  • AIは「空気」を読めない。
  • すれ違いは、プロンプトの前提不足から起きる。
  • プロンプトには「誰に向けて」「どうしてほしいか」「どう出力してほしいか」を必ず入れる。

“察してほしい”は通用しない。AIとの対話は、「伝え切ること」がカギなのです。