ありがちなミスが、学びの宝になる
なぜ「ミス」を学ぶのか
プロンプトを上手く設計できる人は、実は「間違え方」も知っています。
成功例だけを追いかけても、応用は利きません。
自分や他人のつまずきを観察し、「なぜ失敗したのか」を理解することこそ、書き換え力・応用力につながります。
この章では、よくあるミスをパターンごとに分類し、それぞれをどのように改善すべきか、実例とともに紹介します。
特に、中級から上級へのステップアップに欠かせない「改善→再設計」の技術を重点的に解説します。
ミスに気づく力をどう育てるか?
プロンプト設計の上達には「違和感に気づく力」が不可欠です。以下の観点から、自分や他人のプロンプトを客観的にチェックする習慣をつけましょう。
| チェックポイント | 問いかけ |
|---|---|
| 🎯 目的が明確? | 「このプロンプトでAIに何をさせたい?」 |
| 👥 対象が明確? | 「誰に向けた出力?子ども?専門家?」 |
| 🧱 出力形式は? | 「文章?表?フロー図?」 |
| 🧭 視点・トーンは適切? | 「誰の立場から語る?」 |
| 📦 情報が多すぎない? | 「条件が混在してないか?」 |
また、AIの出力結果を見て「思ってたのと違う」と感じたとき、すぐAIのせいにせず、自分の設計の何がズレていたかを考えるクセをつけると、成長速度が格段に上がります。
他人の失敗例も学びの宝庫です。「なぜうまくいかなかったのか」「どう直すとよいか」を観察・仮説・改善する視点で見れば、日常のすべてが教材になります。
最後におすすめなのが、テンプレ構文でのリライトです。
たとえば「高校生向けに、AIの歴史を年表形式で説明してください」といった構文を使うと、自分のプロンプトの足りない部分が自然と浮き彫りになります。
典型的なミス5パターンと改善例
1. 指示が曖昧すぎる
ミス例:「AIについて教えて」
問題点: 内容が広すぎて、AIがどこからどう答えればいいかわからない。
改善例:「高校生向けに、AIの歴史を年表形式で説明して」
2. 丸投げで依頼している
ミス例:「記事を書いてください」
問題点: 目的・対象・形式が不明のため、出力がブレる。
改善例:「IT初心者向けに、スマートフォンの選び方をQ&A形式で説明して」
3. 条件を詰め込みすぎている
ミス例:「AIの説明を、小学生・中学生・高校生別に、表とグラフで、しかも各国の事例も交えて教えて」
問題点: 条件が多すぎて、出力が破綻しやすい。
改善例: 一度に出す条件を絞る。
「小学生向けに、AIの基本的な仕組みを図解付きで説明して」など。
4. トーンや視点が曖昧
ミス例:「AIについて優しく説明して」
問題点: 「優しく」の定義が曖昧。どの立場・視点で話すのか不明。
改善例:「小学校の先生になったつもりで、AIとは何かを児童に語りかけるように説明して」
5. 回答の形式指定がない
ミス例:「ChatGPTの特徴を教えて」
問題点: 箇条書き?文章?構造が不明だと、AIの出力にムラが出る。
改善例:「ChatGPTの特徴を、箇条書きで5つ挙げてください」